公開日:2025年12月2日

ISO14001が2026年に改訂!発行時期・変更点・移行準備を完全ガイド

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この記事では、ISO14001改訂版の発行時期や、改訂内容のポイント、今から準備すべきことについて詳しく解説していきます。

 

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    ※本記事は2025年11月時点の情報に基づいています。ISO14001:2026は現在改訂作業中であり、正式発行までに内容が変更される可能性があります。最新情報については、随時更新してまいりますので、定期的にご確認いただくか、メールマガジンへのご登録をおすすめいたします。

    1. ISO14001改訂版発行はいつ?進捗状況と今後のスケジュール

    1-1. ISO14001改訂版の進捗状況

    現在、ISO14001の改訂作業は最終段階に入っています。

    「国際規格案(DIS:Draft International Standard)」という草案への投票とコメントの議論・処理を経て、ISOによると、2025年11月12日に「最終国際規格案(FDIS)」として登録されました。

    今後、正式発行に向けた最終投票が行われます。

    1-2. ISO14001改訂版発行までの最新スケジュール(2025年11月時点)

    今後は、下記の流れで2026年3月頃ISO14001の改訂版が発行される見通しです。

    ISO14001規格が発行されるまでの今後の流れ

    ステージ登録 →メインアクション開始 →メインアクション完了 →差し戻し or放棄 or続行
    提案
    ISO14001:2015の改訂が決定
    準備
    TC/SC作業プログラムに新プロジェクトを登録作業草案(WD)調査開始WDへのコメント受付終了WDを委員会原案(CD)として登録することを承認
    委員会
    委員会原案(CD)を登録CDへの意見照会(コンサルテーション)開始CDへの意見照会(コンサルテーション)終了CDを国際規格案(DIS)として登録することを承認
    照会
    国際規格案(DIS)を登録2025年2月
    DIS投票開始(12週間)

    DIS投票終了

    DISを最終国際規格案(FDIS)として登録することを承認
    承認
    2025年11月12日
    最終国際規格案(FDIS)を登録
    2025年12月頃予定
    FDIS投票開始(8週間)

    FDIS投票終了

    FDISを国際規格として承認
    発行2026年3月頃予定
    ISO14001改訂版を発行

    用語の確認

    • DIS(Draft International Standard)
    • 規格の草案段階

    • FDIS(Final Draft International Standard)
    • 最終国際規格案。正式発行前の最終確認版で、この段階でほぼ内容が確定し、大きな変更はありません。

    • JIS Q 14001
    • ISO14001を基にした日本産業規格。ISO規格を日本語に翻訳し、日本の産業規格として発行したもの。

    当初は「ISO14001:2015/Amd2:2026」として、追補版の開発が進められていましたが、ISOの方針により、改訂版の内容に反映され発行される予定です。

     

    ただし、進捗状況により発行時期は変更される可能性がありますので、最新情報を定期的に確認することが重要です。

    東京スタンダードでは、ISO14001改訂に関して、メールマガジンにて最新情報をお知らせいたします!ぜひ以下のフォームからご登録ください。

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      2. ISO14001の内容はどう変わる?主な変更ポイント

      2-1. 改訂の基本方針

      今回のISO14001改訂は、附属書SL(マネジメントシステム規格の共通テキスト)の改訂に合わせた変更が中心です。

      大幅な変更ではなく、限定的な変更として進められています。

      改訂の基本方針

      つまり、現在ISO14001:2015を運用している企業にとって、大規模な変更や新たな負担が生じるわけではなく、むしろ既存の取り組みをより明確に、より効果的に実践するための改訂となります。

      Column

      附属書SL・附属書Aとは?

      附属書SLは、ISOマネジメントシステム規格の共通構造です。

      ISO9001(品質)、ISO14001(環境)、ISO45001(労働安全衛生)、ISO/IEC27001(情報セキュリティ)など、すべてのマネジメントシステム規格が同じ章立てと基本用語を使用することで、複数の規格を統合して運用しやすくなります。

      この共通テキストは、「ISO/IEC専門業務用指針 第1部」の付属書の1つとして収録されており、国際規格を作成する際に参照される公式ルールとなっています。

      附属書Aは、規格の要求事項に対する解説やガイダンスを提供する部分です。

      2-2. ISO14001改訂内容のポイント

      今回の改訂では、以下のような変更が加えられています。

      ※DIS(国際規格案)の内容を基に一部を記載しています。

      箇条4.1:組織の状況理解における環境課題の具体化

      外部及び内部の課題として、汚染レベル、天然資源の利用可能性、気候変動、生物多様性又は生態系の健全性など、具体的な例示が追加されました。

      組織を取り巻く環境課題を、具体的に把握することが期待されます。

       

      特に、気候変動や生物多様性など、現代社会で重要視されているグローバルな環境課題を、自社の事業活動と関連付けて理解する必要があります。

      求められる取り組み例

      外部の課題の洗い出し例

      自社の事業エリアにおける気候変動の影響(豪雨・水害リスク、渇水・水不足リスク、猛暑による生産効率低下等)を評価する

      使用する天然資源(水、木材、鉱物、化石燃料等)の将来的な利用可能性や価格変動リスクを調査する

      内部の課題の洗い出し例

      気候変動対応に向けたISOマネジメントシステム規格の追補版が発行されました。これまでの要求事項から何が変わったのか、改訂をうけて組織が取り組むこと、審査で確認されるポイントなどをわかりやすく解説しています。

      箇条4.2:利害関係者のニーズ・期待における環境課題の明示

      注記が追加され、関連する利害関係者のニーズ及び期待の例として、汚染レベル、天然資源の利用可能性、気候変動、生物多様性又は生態系の健全性などが明示されました。

       

      利害関係者(顧客、投資家、地域社会、行政、取引先等)が、環境課題に関してどのようなニーズや期待を持っているかを具体的に把握することが期待されます。

      環境課題に対して、考えられるニーズ・期待の例

      顧客

      投資家・株主

      地域社会

      取引先

      箇条4.3:適用範囲決定時のライフサイクル視点の追加

      e)項「管理し影響を及ぼす、組織の権限及び能力」が、「ライフサイクルの視点を考慮した、管理し影響を及ぼす、組織の権限及び能力という内容に変更されました。

       

      環境マネジメントシステムの適用範囲を決定する際、製品やサービスのライフサイクル全体(原材料の取得から最終処分まで)を考慮し、組織が管理し影響を及ぼす範囲をライフサイクルの各段階で整理した上で、適用範囲を決定することが求められると考えられます。

      求められる取り組み

      ライフサイクルの各段階で、組織が管理し影響を及ぼす範囲を整理しましょう。

      箇条5.1:リーダーシップにおける組織全体の支援

      i)項「その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう,管理層の役割を支援する。」で「管理層」という表現が削除されました。

       

      トップマネジメントは、管理層だけでなく、組織のすべての関連する役割(部門、担当者等)がその関連領域においてリーダーシップをとれるよう、支援をすることが求められると考えられます。

      求められる取り組み例

      箇条5.2:環境方針における天然資源の保護の追加

      注記の環境保護に対するコミットメントの例に、「天然資源の保護」が追加されました。

      環境方針において、天然資源の保護に関するコミットメントを明確にすることが期待されます。

      天然資源の保護に関するコミットメントの例

      水使用量の削減目標を設定し、節水設備の導入、浄化処理を施す前の水のリサイクル等を実施する

      FSC認証紙やPEFC認証紙を使用する、紙使用量を削減する

      再生可能エネルギーの導入、省エネルギー活動の推進

      箇条6:リスク及び機会、変更管理の章構成の見直し

      箇条6の章構成が見直され、以下のように変更されました。

      求められる取り組み

      箇条6.1.2:環境側面のライフサイクル視点の注記追加

      環境側面の注記に、ライフサイクルの視点についての説明が追加され、ライフサイクルの各段階には、「原材料の取得、設計、製造、輸送又は配送(提供)、使用、使用後の処理及び最終処分が含まれ得る」ことが明示されました。

       

      製品やサービスのライフサイクル全体を考慮し、各段階で環境側面の特定・環境影響の評価をすることが期待されます。

      ただし、詳細なライフサイクルアセスメントを実施することを要求するものではありません。

      ライフサイクルの各段階での環境側面・環境影響の例

      ライフサイクル段階環境側面の例環境影響の例
      原材料の取得希少資源の使用、鉱物の採掘資源枯渇、生態系破壊
      設計製品の長寿命化設計、分解容易性設計廃棄物削減、リサイクル促進
      製造エネルギー消費、廃棄物発生、化学物質使用、水使用温室効果ガス排出、廃棄物による環境汚染、水質汚濁
      輸送・配送輸送によるCO2排出、梱包材の使用温室効果ガス排出、廃棄物発生
      使用製品使用時のエネルギー消費、消耗品の使用温室効果ガス排出、廃棄物発生
      使用後の処理・最終処分製品の廃棄、リサイクル率廃棄物発生、資源の有効活用
      ISO14001 基本事項 よくある質問解決ブック 表紙

      ISO14001 要求事項の考え方に関する資料を無料配布中!

      環境側面・環境影響」を含め、ISO14001の要求事項の考え方に関して、多くの組織様からいただいているご質問と解説をご紹介しています。

      箇条8.2:緊急事態対応の定期的なレビューの明確化

      規格要求事項自体の大きな変更はありませんが、附属書Aの説明において、「必要に応じて、プロセス及び計画した対応処置を定期的にレビューし、改訂することも組織の責任である」という内容が追加されました。

       

      緊急事態対応計画を一度作成して終わりではなく、定期的にレビューし、必要に応じて改訂することが期待されます。

      緊急事態対応計画の定期的なレビューの例

      箇条9.1.1:監視・測定に「分析」の追加

      a)項「監視及び測定が必要な対象」に、「分析」という言葉が追加されました。

       

      監視・測定したデータを単に収集するだけでなく、分析して傾向を把握し、改善につなげることが求められると考えられます。

      データの分析例

      箇条9.2.2:内部監査の「目的」の明確化

      a)項「各監査について、監査基準及び監査範囲を明確にする」に、「目的」という言葉が追加されました。

      内部監査では、目的を設定し、重点ポイントを定めて実施することが求められると考えられます。

      内部監査の目的設定例:

      内部監査計画書への記載例: 「○○部門の内部監査」

      新規導入した廃水処理設備の運用状況を確認し、法令順守と環境パフォーマンス向上を評価する

      ISO14001:2026、関連法令、社内規程

      ○○工場の廃水処理プロセス

      箇条9.3:マネジメントレビューのインプット要求の強化

      「マネジメントレビューは、次の事項を考慮しなければならない」から、「マネジメントレビューへのインプットには、次の事項を含めなければならない」に変更されました。

       

      マネジメントレビューを実施する際は、すべてのインプット項目について必ず検討し、レビューに含めることが求められると考えられます。「考慮したがインプット項目には含めなかった」は認められない可能性があります。

      マネジメントレビュー実施時のポイント例

      その他の変更点・まとめ

      上記の主要な変更点以外にも、規格全体で以下のような修正が行われています。

      ・「文書化した情報を維持しなければならない」

      →「文書化した情報として利用可能な状態にしなければならない」

       

      ・「文書化した情報を保持しなければならない」

      →「証拠として、文書化した情報を利用可能な状態にしなければならない」

      今回のISO14001:2026改訂は、大幅な要求事項の追加ではなく、既存要求事項の意図の明確化と、より効果的に実践するための改訂が中心です。

       

      細かな変更点については、改訂版の規格書発行後に詳細を確認し、自社のEMSへの影響を個別に検討していきましょう。

      3. ISO14001改訂版に移行するにはどんな準備が必要?

      移行審査を受けるためには、改訂版の規格に準拠したシステムの構築と、一定期間の運用が欠かせません

      会社の現場・実態に合ったマネジメントシステムにするために、改訂準備は以下の手順で行ってみましょう。

      ISO14001 改訂の手順

      まずは、改訂版の内容・意図をしっかり理解することが大切です。

       

      【今すぐできること】

      ・ISO14001の改訂に関する最新情報を定期的にチェックする

      ・ISOの公式サイトや認証機関のウェブサイトで情報収集する

      ・セミナーやウェビナーに参加して、専門家の解説を聞く

      ・メールマガジンに登録して、最新情報を入手する

      改訂版の要求事項と、現在EMSで行っている取り組みとのギャップを明確にしましょう。

      2で、改訂版が求めることと現状とのギャップがわかったら、どのような取り組みを追加すべきか、変更すべきか、明らかにしましょう。

      3で取り組む内容を決定したら、それをどのような方法で行うかを決定します。

      追加・変更すべき取り組む内容や、方法が明確になったら、関連する文書や記録を見直し、更新しましょう。

      改訂版の規格を基準とした仕組みが構築されたら、実際に運用しましょう。3カ月程度が目安です。

      改訂版の規格を基準としたEMS運用状況を内部監査でチェック・マネジメントレビューを行いましょう。

      4. 移行審査はいつまでに受ければ良い?

      ISO規格が改訂されると、通常3年間の移行期間が設定されます

      ただし、今回は2年間との情報もあります。正式発行時に確認が必要です。

       

      そのため、今回のISO14001改訂版への移行審査は改訂日から2年または3年以内に審査を受け、認証登録まで終了する必要があると考えられます。(下図参照)

      14001移行審査期限 図

      例えば上図のようなお客様の場合(2026年3月に改訂版が発行された場合)、半年~1年の構築・運用後、移行期限(移行期間が3年間の場合、2029年3月)までに移行審査を受ける必要があります。

       

      また、これから認証取得を考えている企業様の場合、改訂後しばらくは現行版(2015年版)での審査・認証登録を受け付ける認証機関も多いため、まずは現行版で審査を受けることができます。

      ただ、どこかで必ず移行することにはなるので、改訂の動向はチェックしてみてください。

      【重要!】余裕を持った移行審査の受審を

      審査月が移行期限直前のお客様の場合、遅くとも移行期限の3ヶ月程度前までには審査を受けていないと、認証登録の手続きが期限までに間に合わない可能性があります(指摘の是正処置や認証登録が可能か判定する時間があるため)。

       

      なるべく余裕をもって、移行期限の1年前~3ヶ月前までには移行審査を受けるようにしましょう!

      ISO登録証

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      東京スタンダードは、ISO14001審査が月額11,000円(税抜)~。中小企業様を中心にご利用いただいている認証審査機関です。ぜひ、一度費用をご比較ください!

      5. ISO14001改訂のポイント まとめ

      今回は現時点(2025年11月)でのISO14001の最新改訂情報をお伝えしました。
      ISO14001の改訂は、2026年3月に発行予定です。移行期限は発行から2年後の2028年3月、または、3年後の2029年3月までとなる見込みです。

      改訂準備のポイント まとめ

      ISO14001改訂に関するよくある質問(FAQ)

      Q1.改訂版が発行される前に定期審査や再認証審査がある場合、どうなりますか?

      改訂版発行前の審査は、現行版(ISO14001:2015)に基づいて実施されます。改訂版発行後の審査では、改訂版(ISO14001:2026)への移行に向けた準備状況も確認される場合があります。認証機関に事前に確認しておくことをおすすめします。

      移行審査は、通常の定期審査や再認証審査と同時に実施することが一般的です。そのため、多くの場合、追加費用は発生しないか、発生しても最小限で済みます。ただし、認証機関によって対応が異なる場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。

      改訂内容は、FDIS(最終国際規格案)の発行時点でほぼ確定します。2025年11月12日にFDISが登録されたため、大筋の内容は固まりつつあります。正式な発行は2026年3月頃の予定です。ただし、細部については発行まで変更される可能性がありますので、最新情報を定期的に確認することをおすすめします。

      当社のT-webサービスの活用や、ISOコンサルタントに相談することをおすすめします。サポートを受けることで、効率的に改訂対応を進めることができます。お気軽にお問い合わせください。

      ISO14001改訂の準備対応中の企業様へ

      東京スタンダードでは、ISO14001改訂対応を含め、ISO認証審査準備・運用をツールでサポートしています。ぜひ一度サービス内容をご確認ください!

      東京スタンダードのサービスのご紹介

      実務経験豊富な471名の審査員が、お客様の実情に合わせた審査を実施します。

      形式的なチェックだけでなく、マネジメントシステムの改善に繋がる確認も含めた、価値ある審査を提供いたします。

      200種類の文書テンプレート搭載の文書管理ツールと専任担当者のサポートで、ISOマネジメントシステムの構築・運用や文書管理を効率的に行えるサービスです。

      ISO教育だけでなく新人社員教育、ビジネスマナー、情報セキュリティなど、多様な教育コンテンツをクラウド環境で提供するサービスです。

      詳しくは、上記リンク(各サービスタイトル)よりサービスページをご覧ください。

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        出典

        ・日本規格協会「注目のISOマネジメントシステム特設ページ」
        https://webdesk.jsa.or.jp/common/W10K0700/?post_type=special&page_id=ms-sp

         

        ・日本規格協会「ISO 14001 改訂に向けた国際会議が日本で開催」
        https://webdesk.jsa.or.jp/common/W10K0620?id=1526

         

        ・ISO公式サイト「ISO/FDIS 14001」
        https://www.iso.org/standard/92300.html

         

        ・ISO公式サイト「ISO 14001:2015/DAmd 2」
        https://www.iso.org/standard/87363.html

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        2023年東京スタンダード設立。エイエスアール株式会社、アームスタンダード株式会社、アフノールジャパン株式会社、QAICジャパン株式会社をグループ会社として持ち、ISO認証登録件数グループ合計5,500件以上の実績を持つ。長年の経験とノウハウを活かして、ISOをより活かすことができるお役立ち情報を発信。

        記事の監修者

        東京スタンダード編集部

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